ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

【訂正あり】日本のピザはそんなに高いんですか、全てのアメリカ人が肥満なわけではない

【9/27追記】

記事中ほどの直径に関する部分に誤りがありましたので、追記しました。

というか、ここを訂正するとこの記事に信憑性は失われてしまうので、自分への戒めとしてだけ残しておきます。まったくうちがデマを流してどうする。

 

さて、デリバリーというと、多くの人がピザを思い浮かべるでしょうが、同時に宅配ピザは「高い」という印象も持たれていることでしょう。また、「国民食であるアメリカのピザは安い」という印象もお持ちかもしれません。

burusoku-vip.com

ちなみに上記のまとめサイトでは、「バイトの時給」「チーズの関税」「需要と供給」などの意見が出ておりました。

はいはい、でもみなさん、じゃあアメリカの宅配ピザ、一枚いくらするか言えますか?本当に日本のピザは高いのか、「印象」だけでなく、ちゃんと確かめてみましょう。

 

 

今回は、世界をまたにかけるドミノピザさんを検証することにします。

ドミノピザは言わずもがな、アメリカ発祥の企業で、シェアはピザハットに次ぐ第2位らしいです。*1

 

1.アメリカン・スペシャルMサイズを比べてみる

では、日本のドミノとアメリカのドミノ、比べてみましょう。

まずは比べやすい「アメリカン・スペシャル」を例にとります。

www.dominos.jp

トッピングはトマトソース、ペパロニ、パルメザンチーズのシンプルピザで、お値段税込みMサイズ1728円

一方アメリカのドミノピザ。

www.dominos.com

適当に住所を打ちこんで、「Delivery」を選び、「PopularItem」の中から、「アメリカン・スペシャル」と似たピザを探します。すると、「Cheese」「tomato sauce 」「Pepperoni」が載った「Medium (12") Hand Tossed Pizza」が見つかるので、それを頼みます。

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お値段はデリバリーと税込みで14.68$。9月25日のレートで、1776円。おや、日本のピザより高いではないですか

 

「いやいや、アメリカのピザは大きさが違うんだよ、大きさが」

という声が聞こえてきそうです。確かに、アメリカドミノの「M」サイズは12インチなので、約30センチ。一方、日本ドミノの「M」は約23センチと開きがあります。

 

単純に、アメリカのピザは日本の1.3倍と考えるならば、値段も1.3倍で2246円。3割増しは確かに高いかもしれませんねえ。

 

【9/27追記】

ご指摘いただいたんですが、直径が1.3倍なら面積は1.7倍になりますよね。ああ、算数ができないことがばれてしまった。

するとMサイズは1776*1.7=3019円となり、おー、えらい金額になりました。アメリカと比べるなら価格比は約1.4倍。これは高い。

単純に面積比を価格比に対応させていいのかという考えもあるかもしれませんが、ついつい結論ありきで記事を構成してしまいました。今後の戒めとして記事は残しておきますが、以下の検証はあんまりあてにならないんじゃないのかなあと思いながら読んでください。ごめんなさい。

 

2.チップ制度を勘案してみる

 

しかししかし、アメリカにはチップ制度があるじゃあないですか。ならばデリバリーにもチップを払うはず*2

このサイトによれば、ピザのデリバリーは20ドル以下なら3ドルぐらいが相場とのことですので(そんなに払うかなという気もしますけど)、362円プラスで考えるならば、2138円。2246円と2138円、差は108円。どうです?差はそんなにないですよね。

 

「アメリカン・クラシック」だけだと片手落ちなので、他のメニューと比較してみたいんですが、日本は独自メニューが多すぎて、いまいち比較がしづらい。

なので、プレーンピザにトッピングをしていく方法で比較をしてみます。

トッピングは、「ペパロニ」「イタリアンソーセージ」「ベーコン」「パイナップル」「マッシュルーム」というごった煮ピザ。

結果としては、

日本:2592円*1.3=3369円

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アメリカ:21.21ドル=2566円+362=2928円

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価格比は1.15倍。これを「異常に高い」と感じるかどうかはちょっと個人差があるかもしれません。

一応Lサイズでも考えてみましょう。

アメリカのLサイズは14インチで約35センチ。日本は約33センチなので1.06倍と考えましょう。アメリカドミノはMサイズにプラス「2.25ドル」すると、サイズ変更できちゃいます。その価格でアメリカン・スペシャルを計算するなら、

日本:2592*1.06=2747円

アメリカ:17.13ドル=2072円+362円=2434円

価格比は1.12倍。うーん、思ったほど差が出ませんねえ。*3

 

3.なぜアメリカのピザは安いと思われるのか

以上、ドミノピザに関しては、そこまで言うほど、日本の値段が高いというわけでもなさそうでした。「異常に高い」というなら、フランスのドミノピザのほうがよっぽど高いです。*4

 

個人的な見解を述べるなら、アメリカのピザが「安い」と思われる理由は、「今までの円高傾向」「宅配ピザではないピザの価格帯での比較」があげられるのではないのかなと思います。あとは、今回はドミノピザの定価だけでの比較なので、もしかすると「リトルシーザーズピザ」とかはもっと安くなるのかもしれませんし、セットやクーポンの使い方によっては値段が日本のものより大きく変わるのかもしれません。そしてここをつかれると痛いのですが、複数枚同時に頼んだ場合は、チップは1回分で済むので、価格はぐっと抑えられることにはなるでしょう。

 

しかしいずれにせよ、チェーンの一枚あたりの定価レベルでは、チップを含めて考えるならば、そこまで言うほど日本の宅配ピザは高くないわけです。「アメリカ人=ピザ」の公式はあまりにも世界的に広がっているので、ついつい価格設定もその印象に引っ張られがちになるんでしょう。全てのアメリカ人が肥満ではないように、価格というものも、あまりお国事情を信じすぎるのもよくないんじゃないかなあと思います。

 

*1:デカい安いは当り前?アメリカで人気のピザチェーンTOP5 - お手軽ピザの道具箱 面倒なのでこの記事自体の検証はしてません。

*2:アメリカドミノのサイトにも「Any Delivery Charge is not a tip paid to your driver. 」と但し書きが書いてあり、配達代金はチップじゃねえんだぞとわざわざ忠告してくれています。

*3:ちなみに、先ほどのトッピングしたピザでLサイズを考えると、

日本:4178円

アメリカ:3356円

となるので、価格比は1.24倍とあがります。要するに、輸入コストがかかっているトッピングが増えたりすると、価格差が開いていくんじゃなかろうかと思われます。

*4:

www.dominos.fr

たとえば、「Margherita Tomates fraîches」というのが、日本の「クイーン・マルゲリータ」と材料が一緒なので比べてみると、

日本:1944円

フランス:16.9ユーロ=2280円

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と、日本よりもさらに高い価格設定になっています。