ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

村上春樹の小説以外をオススメする・その1

また今年もノーベル賞の季節がやってきました。この季節になると、全国のハルキストはそわそわしだすみたいですね。

kabumatome.doorblog.jp

今年はボブ・ディランというサプライズであり、毎年外野にワイワイやられる村上春樹もかわいそうなもんです。

私は、ブログタイトルからもわかる通り、村上春樹は結構好きです。もちろんタイトルは

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

 

からとりました。ちなみに『羊をめぐる冒険』は英訳名が"A Wild Sheep Chase"。これは"A Wild Goose Chase"という英語のイディオムをもじったものです。このイディオムは16世紀に遡る表現で、当時の競馬用語のひとつ。先を駆ける一頭の馬のあとを上手に他の馬が正確な距離を保って走ることを当時は目的としていて、そのキレイな馬の列がV字に飛ぶ雁を想起させることから、「野生雁の追跡」という名称で形容されるようになったんだそうです。それが、イディオムとして「何かを手に入れようといろいろやったけれど、結局それは時間の無駄だった」みたいに変化していったんだそうです。この小説にふさわしいオシャレな英訳ですね*1。当ブログも、ファクトチェックという「いろいろ確かめてみたけどやっぱり正しかった」という無駄足の作業がメインなので、それにあやかってつけました。

 

閑話休題。

 

昔はあまり好きではなかったのですが、英語の勉強がてらに読んだ英訳版*2が面白くて、それから読むようになりました。ハルキストのような傾倒は特にないのですが、時間が経つと読み返したくなる、不思議な作家です。小説については賛否両論がもう何十年と続いているわけですが、エッセイやら対談やらについて否定している人をあんまり見ません。

 

というわけで、そういう彼の「小説以外」の私的なオススメをしてみたいかなあと思います。

*1:以上、『英語で読む村上春樹』2015年5月号を参考にしました

*2:

 

めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女

 

 これの英語版です

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