ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

【令和5年版】「報道の自由度2023」の報道の仕方から不自由を見る

お久しぶりです、生きてます。

 

正直、もうあまりこのブログを更新することはないかなと思うんですが、「報道の自由度」については、他の誰も書かないので、細々記録を残していこうと考えています。

 

さて、2020年から観測している*1、国境なき記者団(以下RSF)による、「報道の自由度ランキング」が今年も発表されました。金太郎飴のように「SNS上で記者が攻撃されている」しか報道してこなかった朝日が、去年はなんと、記事にすらしない、という英断(!)を下して界隈を賑わせました。さあ、今年はいったいどうなっているのか…!

 

【目次】

  • 朝日くん、記事にする
  • 朝日が報じないこと
  • 伝統的とはなにか
  • ところが英語版では...
  • 他紙について
  • 今日のまとめ

 

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イオンでATMが使えなくなるのは「不正確」か、世の中に不満があるなら

日本ファクトチェックセンター(以下JFC)は、ずいぶんと幸先の悪い出だしになっていて、他人事ながら心配です。

 

ちょっと気になったのが次の記事。

 

「イオンでATMやクレジットカードが使えなくなると店員が説明している」というツイートが拡散していますが、内容が不正確です。イオン銀行で10月7日から11日まで、ATMやネットバンキングなどが休止になりますが、イオンカードのクレジット払いは通常通りです。ツイートに関連した世界的な陰謀論も、一部で語られています。

ファクトチェック:「イオンでATM、クレジットカードが使えなくなる」は不正確|日本ファクトチェックセンター(JFC)

 

いわゆる陰謀論というヤツで、JFCはイオン銀行のHP及びコメントをもって「不正確」としていました。この記事はなかなか荒れているんですが、私が気になったのは、「何を誰に伝えたいのか」がよくわからないな、という点でした。

 

というわけで、今回のツイートを、自分だったらどうやってアプローチするかなと考えながら検証し直してみました。ちなみに私はGoogleからもYahooからもお金をもらっていません。

 

【目次】

  • 誰が言い出したのか
  • DSとQFS
  • イオン銀行のATM停止はQFSへの入れ替え
  • NESARAとQFS
  • 誰に向けての「ファクトチェック」か
  • 今日のまとめ

 

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テレビの方がエアコンより節電効果が高いのか、見たいものを見たい

このNEWSポストセブンの記事を鵜呑みにした言説でしばし盛り上がっていました。

 

 これによれば、エアコン1台を止めることで期待できる節電効果(1時間あたりの消費電力)は130ワット。一方、液晶テレビを1台消すと220ワットとなる。

 単純に比較しても、テレビを消す節電効果は、エアコンの約1.7倍にもなるということだ。

黙殺された野村総研の“TV消せばエアコンの1.7倍節電”報告|NEWSポストセブン

 

この記事自体は2011年8月10日とかなり古め。いつもは「ポストw」みたいな感じで蔑むのに、こういう都合のいい記事には調子よくのっかるんだから…と思ってちょっと調べていたら、さっさとファクトチェックの記事が出てしまいました。

 

news.yahoo.co.jp

 

ご自身が「火元」ではないかということで、なるほど、こういう方でも失敗はあるんですねと、失敗の多い私は安心しました*1

 

上記の記事を読んでいただければ、当初私の書きたかったことが書かれているのでいいっちゃいいんですが、せっかく野村総研にも問い合わせたので、少し違う視点から今回の件を取り上げてみようと思います。

 

【目次】

  • 2011年の野村総合研究所のレポート
  • 結論は「エアコンを切る」
  • 「節電効果」のワット数
  • 野村総研のレポートは正しいのか
    • 定格電力と消費電力を混在していいのか
    • やっぱりテレビを消せばいいのでは
  • 結論ありきなのではないか
  • 今日のまとめ

 

 

*1:

念のために書くと氏の記事はアーカイブされております。さすがにリンクを貼る意地悪なことはしませんが

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ポニョのフジモトは海底二万里のクルーなのか、情報の貝拾い

この前『崖の上のポニョ』が金曜ロードショーで放映された際、こんなツイートが話題になってました。

 

 

私が気になったのが「ノーチラス号の唯一のアジア人」という部分で、そんなヤツでてきたかな…と思ったので、調べてみました。結論だけ書くと、「宮崎監督の設定上の話で、〈唯一のアジア人〉は不正確」という感じです。

 

【目次】

  • 公開当時のパンフレットが初出
  • ノーチラスのクルーはよくわからない
  • ネモ船長はインドの王子
  • 今日のまとめ

 

 

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【令和4年版】「報道の自由度2022」の報道の仕方から不自由を見る

今年も「報道の自由度ランキング2022」が公表されました。

rsf.org

これは毎年、国境なき記者団(RSF)が発表する、各国のジャーナリズムの自由度を公表するものです。

 

ところが、日本の報道機関は、あまりこれを正確に伝えていません。

 

各紙ひどいといえばひどいんですが、特に朝日は突出していて、2018年の「報道の自由度ランキング」の記事から、「記者が「反愛国的」なことを書くと「SNS上で攻撃される」という内容のみを金太郎飴のように毎年書き続けています。RSFが毎年指摘している「スポンサーのご機嫌うかがいによる自己検閲」や「記者クラブの排外的課題」についてはいっさい書こうとしてないんですね。「報道の自由度ランキング」について書けば書くほど、日本の「報道の不自由さ」が明るみに出るという、なんとも残念なおはなしになっているわけです*1

 

そんな感じなので、5月3日にRSFが今年のやつを公表した際、「もしや朝日に先んじて予想した記事をかけるのではないか…?」と、大胆に書いたのがこちら。

 

報道自由度、日本71位 ウクライナ情勢などによる規制強まる

 国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は3日、2022年の「報道の自由度ランキング」を発表した。調査対象の180カ国・地域のうち日本は71位(前年67位)と順位を落とした。

 日本の状況について、報道について自由と安全を比較的保っているとしながらも、「中傷的」と見なされる投稿をリツイートしただけで政治家から裁判を起こされたり、東京電力福島第一原発といった「反愛国的」テーマを扱ったり、政権を批判したりする記者がSNS上で攻撃を受けていると指摘した。

 ウクライナ情勢をめぐり、独立系メディアなどを「外国の手先」と見なし、軍事的検閲を行っているロシアは155位(昨年150位)で、厳しい統制環境にあることが指摘された。

 1位は昨年と同じノルウェーで、4位までをデンマークなど北欧諸国が占めた。米国は42位(昨年44位)で、日本は主要7カ国(G7)の中で最下位。中国は175位(昨年177位)だった。

「報道の自由度ランキング2022」の新聞記事を予想する - ネットロアをめぐる冒険

 

さあ、実際のところどうだったんでしょうか…!とワクワクしていたら、たいへん悲しい結果になりました…

 

【目次】

  • 2022年の日本について
    • ①記者クラブの問題
    • ②国家権益に関する法律が私権を制限している
    • ③大規模な伝統的メディアグループの独占
    • ④政府と企業の圧力
    • ⑤ジャーナリストの安全への不安
  • 朝日新聞は記事にしていない(5月6日7時現在)
  • 他紙の状況から確かめる
  • 今日のまとめ

 

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日本の貧困は政策のミスなのか、ネコを信じよ

日本の貧困は「政策ミス」であるとする画像が出回っています。文字起こしすると、以下の通り。

 

カナダの大学の経済学で取り上げられたそうだ。日本の貧困者は薬物もやらず、犯罪者の家族でもなく移民でもない。教育水準が低いわけでもなく、怠惰でもなく勤勉で労働時間も長く、 スキルが低いわけでもない。世界的にも例の無い、完全な「政策のミス」による貧困だと

 

実はこのコピペ、出所がそこそこはっきりしており、「カナダの大学」自体は出所不明で、どうやら間違いのようなんです。ただ、それを元にこの話自体を「迷信」として処理する方がいたので(そして元ネタとする情報が誤っている)、既に前から指摘されていたのですが、一応まとめてみることにしました。

 

【目次】

  • 2019年のブルームバーグの記事
  • バズったのは2021年10月25日
  • ファクトチェックはファクトか?
  • 今日のまとめ

 

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「報道の自由度ランキング2022」の新聞記事を予想する

【5/6更新】

ちゃんとした記事を書きましたので、下記をご参照ください。

www.netlorechase.net

 

***

 

 

さて、さきほど「報道の自由度ランキング2022」が公表されました。

 

rsf.org

 

これは毎年、国境なき記者団(RSF)が発表する、各国のジャーナリズムの自由度を公表するものです。

 

私はこれについて、朝日新聞の記事をサカナに過去2年記事にしています。

 

www.netlorechase.net

 

www.netlorechase.net

 

各紙ひどいといえばひどいんですが、朝日は突出していて、2018年の「報道の自由度ランキング」の記事から、「記者が「反愛国的」なことを書くと「SNS上で攻撃される」という内容がほぼ踏襲されていて、RSFが毎年指摘している「スポンサーのご機嫌うかがいによる自己検閲」や「記者クラブの排外的課題」についてはいっさい書こうとしてないんですね。「報道の自由度ランキング」について書けば書くほど、日本の「報道の不自由さ」が明るみに出るという、なんとも残念なおはなしになっているわけです。

 

たぶん、はやければ明日(5/4)の朝に記事が出るのかなと思うんですが、だったら、その前に記事内容を予想できるんではないか、ということで、ここに記してみます。すみません、今日はお遊びみたいなもんです。ちゃんとした記事は、朝日さんが書いた後に書きますね。

 

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報道自由度、日本71位 ウクライナ情勢などによる規制強まる

 国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は3日、2022年の「報道の自由度ランキング」を発表した。調査対象の180カ国・地域のうち日本は71位(前年67位)と順位を落とした。

 日本の状況について、報道について自由と安全を比較的保っているとしながらも、「中傷的」と見なされる投稿をリツイートしただけで政治家から裁判を起こされたり、東京電力福島第一原発といった「反愛国的」テーマを扱ったり、政権を批判したりする記者がSNS上で攻撃を受けていると指摘した。

 ウクライナ情勢をめぐり、独立系メディアなどを「外国の手先」と見なし、軍事的検閲を行っているロシアは155位(昨年150位)で、厳しい統制環境にあることが指摘された。

 1位は昨年と同じノルウェーで、4位までをデンマークなど北欧諸国が占めた。米国は42位(昨年44位)で、日本は主要7カ国(G7)の中で最下位。中国は175位(昨年177位)だった。

 

さあどうでしょう、当たってますかね*1。ちなみにRSFのインデックスはかなり見やすくなっていて、日本の状況も「記者クラブ」「政府や企業の圧力」などなど、細かめに書かれていますが、そんなことはきっと書かないだろうという予想です。これはまた後で。

*1:

こういう記事は気が楽で、予想が当たれば「それみたことか」と言えますし、外れても「おいおいがんばったじゃないか」と上から目線でものが言えるので、まああんまり行儀のいい内容ではないですね。朝日さんの記事がでたらちゃんとした内容に差し替えますね。